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AAROの公式議事次第は、2023年5月24日に英国を含むFive Eyes各国がUAP会合に参加し、各国報告を行う予定だったことを示している。
英国防省は2025年、2023年5月以降はUAPに特化した国際グループへ参加していないと議会に回答した。
ルイス議員がFive Eyes UAP Caucusとの協力は継続中かと聞くと、国防省は以前の回答を参照するだけで、はい・いいえを示さなかった。
労働党のクライブ・ルイス議員は、Sol Foundationのピーター・スカフィッシュとの対談で、Five Eyes各国がUAP問題で協力しているとの認識を示し、英国防省の回答について「嘘をつかれたのか。間違いなくミスリードされた」と述べた。発言は2026年8月29日付のLiberation Timesで報じられた。
この主張を評価するには、少なくとも三つの時点を分ける必要がある。英国が参加したことが確認できる2023年5月24日、国防省が議会に答えた2025年9月、そしてルイス議員が批判した2026年8月である。
米政府文書に残る「初のFive Eyes UAP会合」
米国防総省の全領域異常解決局AAROが情報公開で公表した議事次第によると、「FVEY Inaugural UAP Caucus Working Group」は2023年5月24日、米国防総省の本部ペンタゴンで開かれた。
参加対象として記載されたのは、AARO、米国家情報長官室(ODNI)、連邦航空局(FAA)、NASA、そしてUAPを扱うFive Eyesのパートナーだった。Five Eyesは米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドによる情報協力の枠組みである。
会合の目的は、同盟国が抱えるUAP問題、検知・識別・緩和の活動と課題について共通認識を作り、任務ごとの協力機会を検討することだった。議事次第には米国側の説明に加え、オーストラリア、カナダ、英国、ニュージーランドの更新報告が並び、最後には今後の協力枠組み、報告ネットワーク、データベース、収集計画、次回会合などを話し合う時間も設けられていた。
一次資料から言えること:英国は少なくとも2023年5月の会合で、UAPに関するFive Eyes協力の枠内に位置づけられていた。議事次第だけでは、英国報告の内容や、提案された協力枠組みが実際に発足したかまでは分からない。
英国防省は議会にどう答えたか
ルイス議員は2025年7月22日、「政府は2023年5月以降、UAPに焦点を当てた国際グループに参加したか」と書面で質問した。国防省のルーク・ポラード国務大臣は同年9月4日、国防省は2023年5月以降、UAPに特化した国際グループに参加していないと回答した。
この答弁は、2023年5月24日の会合そのものを否定したとは限らない。「2023年5月以降」を会合後の期間として使った可能性があるからだ。しかし、英語の「since May 2023」は5月を含むとも読め、会合の日付を示さない回答は、英国の参加実績を知らない読者に「国際的なUAP協力自体がなかった」という印象を与えかねない。
ルイス議員はさらに2025年8月29日、「英国とFive Eyes UAP Caucusとの協力は継続中か」と直接質問した。9月8日の回答は、先の答弁を参照するよう求めただけだった。継続中か、終了したか、別の情報共有経路に移ったかという点について、新しい説明はなかった。
英国側の発表資料は公開されていない
英国の情報コミッショナー事務局(ICO)が2025年3月17日に公表した決定文には、2023年5月の会合で英国側が行ったUAP発表に関する情報公開請求が記録されている。国防省は、要求された情報を保有しているかどうか自体を確認も否定もしなかった。
国防省が挙げた理由は、安全保障機関、国家安全保障、防衛、国際関係に関する情報公開法上の規定だった。ICOはこのうち安全保障機関に関する規定を根拠とした対応を認め、追加の開示を命じなかった。
ここも過大解釈は禁物だ。「保有を確認も否定もしない」という回答は、英国側の発表資料や機密UAPプログラムが存在すると認定したものではない。公開記録として残ったのは、英国報告について具体的な請求が行われ、その請求に国防省が内容面で答えなかったという事実である。
「ミスリードされた」はどこまで裏付けられるか
ルイス議員の批判には根拠となる文書上の緊張がある。米国の公式議事次第では英国がUAP会合の参加国として明記され、将来の協力も議題になった。それにもかかわらず、英国側の答弁は過去の参加を説明せず、その後の協力を問う質問にも直接答えなかった。
ただし、現在公開されている資料だけで「国防省が虚偽答弁をした」と断定することはできない。2023年5月24日より後に、英国がUAPに特化した国際グループへ参加したことを示す会合記録や出席者名簿は確認できていないからだ。
また、UAPに関係する情報交換が続いていたとしても、それが正式な「UAPに特化した国際グループ」への参加として扱われるとは限らない。既存の防空、情報、航空安全、ドローン対策の経路で共有された場合、国防省が質問文とは別の分類を用いる可能性もある。
現時点の評価:ルイス議員が「不十分で誤解を招く回答だった」と批判する余地はある。一方、公開資料は2023年5月後の英国参加を証明しておらず、意図的な虚偽や秘密計画の存在まで裏付けてはいない。
争点はUFOの正体より「議会への説明」
今回の資料は、異星由来の機体、回収物、非人間知性を示すものではない。Five Eyes会合で扱われたUAPが何だったのか、英国がどのような事例やデータを報告したのかも公開されていない。
それでも政策上の意味はある。Five Eyes各国が、識別できない航空・宇宙・海洋上の検知を安全保障上の共通課題として扱っていたことは、AARO文書から確認できる。通常のドローン、航空機、気球、衛星、センサー異常と潜在的な脅威を区別するには、同盟国間のデータ共有が必要になる。
その協力の存在、目的、終了時期を政府がどの程度議会へ説明するべきかが、ルイス議員の問題提起の核心だ。「UFOを調査しているか」という単純な質問だけでは、既存の情報・防空経路に組み込まれた活動を捉えられない可能性も示している。
日本はFive Eyesの加盟国ではないが、米国などとの安全保障協力を通じて、識別できない航空事象に関する情報をどの範囲で共有しているのかは日本にも関係する論点だ。今回の英国と同じ仕組みが日本にあると示す資料はないものの、政府がUAP関連の国際協力を国会や国民にどう説明するかという課題は共通している。
次に必要な資料
この問題を前進させるのは、さらに強い主張ではなく、2023年5月以降の記録である。特に次の資料が公開されれば、国防省答弁の妥当性を具体的に評価できる。
- 2023年5月24日に行われた「UK Update」の発表資料または要旨
- Five Eyes UAP Caucusの次回会合記録と出席国一覧
- 会合で提案された将来の協力枠組みが設置されたかを示す文書
- 英国防省が「UAPに特化した国際グループ」とみなす活動の定義
- 正式な会合以外に、既存のFive Eyes経路でUAP関連情報が共有されたかを示す記録
現段階で確実なのは、英国が2023年5月の会合に組み込まれていたことと、継続協力を問う議会質問に明確な回答が出なかったことだ。その間を埋める公開記録は、まだ不足している。
確認できること/確認できないこと
確認できること:AAROの公式議事次第は、2023年5月24日のFive Eyes UAP会合に英国の更新報告を含めている。英国防省は2025年、同年5月以降はUAPに特化した国際グループに参加していないと答え、継続協力を問う再質問には以前の答弁を参照した。ルイス議員は2026年8月、この対応について「間違いなくミスリードされた」と述べた。
確認できないこと:英国の報告内容、2023年5月後の会合参加、正式な共同組織や共有データベースの設置、既存の情報経路を通じた協力の有無、国防省が意図的に虚偽を述べたか、会合で地球外技術に関する情報が扱われたか。
参照資料
記事公開日:2026年9月1日
情報源区分:A=米政府・英国議会・英国ICO公式資料/B=当事者発言を伝える専門報道