30秒で分かる結論
転載画像への後付けではなく、NASA/JPLが公開しているナビカメラ画像そのものに黒い形が写っている。
ほぼ同じ方向を撮影した直前のフレームには、問題の形を確認できない。
別角度、距離、大きさ、動きが分からず、撮像上の異常や塵なども排除できない。
面白いのは、見慣れた岩が生物に見えるだけの単純な「火星の顔」とは少し事情が違う点だ。同じカメラが13秒間隔で撮った画像を比較でき、その後の一枚だけに黒い形が現れる。ただし、一枚しかないからこそ正体を絞れない。
2023年の画像が、2026年に再び話題に
Daily MailとThe Sunは2026年8月13日、NASAの火星画像に「クラゲ状」の像が写っているとして報じた。きっかけはSNS上で画像が再共有されたことで、「火星のサーファー」「クラゲ型UFO」「かかしのようだ」といった反応が広がった。
ここではニュースの公開日と、画像の撮影日を分けて考える必要がある。新しく撮影された画像ではなく、キュリオシティが2023年8月20日、火星での第3924日(Sol 3924)に撮影した既存画像が、約3年後に発見・再注目されたニュースである。
13秒で何が変わったのか
二枚は右ナビゲーションカメラBによる連続した観測の一部で、画像サイズはいずれも1024×512ピクセルである。画角にはわずかな違いがあるが、背景の斜面と地平線は共通している。黒い像は後の画像の左下にだけ確認できる。
確認できたこと / まだ分からないこと
元画像、撮影時刻、Sol、カメラ名をNASA/JPLの公開ページで確認できる。
13秒前の右ナビカメラ画像では、同じ地平線付近に黒い像を確認できない。
一枚だけのため、地表・空中の物体なのか、瞬間的な撮像異常なのかを分けられない。
形が現れたことは確認できるが、移動を示す連続画像や動画ではない。
同時刻・同対象を捉えた左カメラ画像が確認できず、距離や実寸を計算できない。
2026年8月14日の確認時点で、この像の正体を個別に説明するNASA/JPLの発表は見つかっていない。
考えられる説明
最初に検討すべきなのは、瞬間的なセンサーノイズ、宇宙線の影響、伝送・画像処理上の異常である。固定した故障画素なら別の画像にも同じ位置に残りやすいが、一時的な撮像異常なら一枚だけに現れる可能性がある。
火星の塵、小石、探査車の近くを通過した小さな物質が、遠くの大きな像のように写った可能性もある。火星ではダストデビルも観測されるが、この画像だけから問題の形をダストデビルと特定することはできない。
もちろん、実際に地表または空中にあった未知の物体という可能性も、画像だけでは完全には排除できない。しかし「排除できない」ことは「クラゲ型生物や宇宙船だと分かった」ことではない。別角度の画像、連続撮影、距離情報がなければ、候補の一つに留まる。
運営者の見方
像そのものは小さく、拡大するほど既知の形に見えてしまう危うさがある。一方で、転載画像への書き足しではなくNASAの原画像に実際にあり、直前のフレームと比較できるため、単なる見間違いとしてすぐに片づけるのも早いと感じる。
生命体やUFOと断定するには証拠が足りないが、撮像異常を含めて検討する価値のある資料だと思う。正体を決めつけるのではなく、確認できる二枚を並べたうえで、今後の技術的な分析や追加情報を待ちたい。
参照資料
公開日・確認日:2026年8月14日
今後の確認点:NASA/JPLによる個別解説、同時刻の別カメラ画像、追加フレーム、画像処理・センサー由来かを検討する技術的分析。